「自分のスキを胸を張ってスキ!と言える人」とは?
池松:才能と能力は別物だと思います。能力は努力して身につけるもの、才能は生まれつき持っている嗅覚のようなものだとすると、「自分のスキを胸を張ってスキ!と言える人」とは、どのような才能を持っているのでしょうか?
遠山:これは現時点だから思う事ですし、繰り返しになるのですが、篠田くんの才能は「これが面白い!これが好き!」と、明確に言い切れる点だと思うのです。経験を積んでも、これは意外と難しいことではないでしょうか。特にテレビのような「正解のない世界」で、自分の企画に対して「これが絶対に面白い!」と言い切るのは簡単ではありません。でも篠田くんは、そのブレない信念をキラキラした笑顔で、技術陣や先輩に対しても堂々と伝えていくのです。そこが本当に素晴らしいと思います。
池松:それは「解像度が高い」ということなのでしょうか?好きを堂々というのと「解像度」がちょっと結びつきにくいかなとも。好き!だけじゃなく緻密で論理的なことが「解像度」だと思うので
遠藤:そうですね。例えば、『秋山歌謡祭』のような大規模な番組を実行するには相当なストレスがあるはずですが、篠田くんの現場は、美術さんや技術さんが一つの方向に向かっているのが印象的です。彼の論理的な説明力が非常に高いからこそ、そうした一体感が生まれているのだと思います。当初は、みんな彼の「スキ!」という情熱に引き寄せられたのだと思っていましたが、実は論理的な説明力とコミュニケーション能力が、彼を支えているのだと感じます。