篠田Pの「アタマの中のメモ少年」

池松:子どもの頃から、今の自分を想像できましたか?

篠田:それはなかったですね。

池松:人生の急展開で、ときどき辛くなることはありませんか?

篠田:これは記事に使っていただけるかわかりませんが…「あした死んでもいいかな」と思うくらいの感覚で生きています。

池松:その感覚は、具体的にどのような感じなのでしょう?

篠田:無責任に仕事をしているわけじゃなくて、後悔なく生きているというか…うまく説明できませんが、最近ずっとそう感じています。結婚や子どもができたら変わるかもしれませんが、今の段階では、自分がやれることは全部やったかな、と。言語化が難しい、不思議な感覚なのですが。

池松:そこはもっと掘り下げたいですね。

篠田:「テレビ局に入って番組を作るなんてすごいね」とSNSでよく言われるんですが、僕のスタートはロバートを追っかけて来たことです。でも、自分がロバートのメンバーになるとか、お笑い芸人で売れるという道は見えませんでした。しかし、大学を出て吉本興業に入れば、マネージャー職になれるのは時間の問題だと考えていたのです。いや、「絶対なれるはず」と思っていたのです。だからテレビ局に入って、自分がやりたい企画を番組で実現することも可能だと思っていました。世の中には、そのような状況のときに途中で諦める人もいますが、僕は「できる」と思ってやってきました。28歳までにやりたいことは、全部やれた気がします。

池松:凄い。それは羨ましいなぁ。

篠田:なんか、嫌味に聞こえましたかね…。

池松:ごめん。いや、そんなことは無いです。心がまっさらなシーツみたいです。シミも黄ばみもない感じというか。素敵です。これは重要な部分ですね。篠田さんの本質に触れた気がします。

篠田:「あした死んでもいいかなと思うくらいに」というのは、28歳までに自分で立てた目標が達成できたからだと思います。これはあくまで「自分の中の100点」であって、世の中にはもっと高い…例えば400点を目指す人もいるでしょう。たとえば、大谷翔平選手のようにもっと上を目指している方々もいるわけです。でも、自分なりの100点を目指してきたからこそ、ここまでの人生をやり切れたとでも言いましょうか…。

池松:篠田さんの心の内を聞けた気がします。それは、今後会社の環境によって変わるかもしれませんね。   

篠田:どうでしょうか。人任せにせず、自分で決めていきたいと思っています。これまでもそうやって生きてきたので。