人間の思考、行動、感情、記憶、感覚、運動など、心身の活動をコントロールする司令塔のような役割を持つ脳の研究を行っている、脳科学者の中野信子さん。運のよさは生まれつき決まっているものではなく、日々の思考や行動によって脳をトレーニングすることで変えていけると言います。(構成:篠藤ゆり 撮影:村山玄子)
マイナスのなかにもプラスはある
人の脳は、マイナスの出来事がしばらく続くと「不運」、プラスが続くと「幸運」と捉える特性があります。それは、脳自体がそれほど有能なわけではなく、フェアでもなければバイアスがないわけでもなく、環境や栄養状態ひとつで揺らぐことがあるからです。
ですから、自分の脳に「運がいい」と思い込ませるのは、そんなに難しくありません。それならば、脳のいささかポンコツな部分を利用しない手はありませんよね。
人間が記憶する際は、大脳の深部にある海馬という部位が働きます。人の記憶は、視覚、聴覚、嗅覚など、脳に情報を送る際に働かせる感覚器官が多いほど、記憶が強化され、長期に残りやすいもの。
ですから、「自分は運がいい」と声に出したり、紙に書いて貼って毎日眺めたりするだけでも、脳の経路は変化していくものなのです。