手を取って一緒に泣いてあげるだけでいい

鴨長明の『方丈記』をはじめ、日本の古典文学にはさまざまな災害についての記述があります。古来、日本人は地震や火山の噴火、河川の氾濫などの自然災害に繰り返し見舞われてきたということです。

けれど私たち人間は、そういったひどい災害も、たくさんの人が亡くなった戦争でさえも、あったという事実を時とともに忘れがちです。そして、自分が生きているうちに、まさかまたそんな目に遭うことはあるまいと、無防備に暮らしています。

お釈迦様は、この世に存在するすべては常に移り変わっていくということを「諸行無常」という言葉で説いています。当たり前のように思っている平和や日常の暮らしも、本来はとてもはかないものなのです。

天災は、いつどこで起こるかわかりませんし、これだけ文明が発達した世であってもそれを防ぎようがなく、自然の驚異的な力に、人間はまだかなわない。ですから、「明日は自分の身の上かも」と、肝に銘じて生きていかなくてはなりません。

今回被害に遭わなかった方も、被災した方々に思いを馳せてください。そして、もし身近につらい思いをしている方がいたら、心からなぐさめの言葉をかけてあげてください。言葉が見つからなければ、手を取って一緒に泣いてあげるだけでいいのです。

災害の多いこの国に生きる我々は、互いに支えあって、生きていかなければなりません。