「ぬい」と呼んでいるぬいぐるみは、旅行にも連れていく。対局中の碁盤に並べて撮影した1枚(写真提供◎新井さん)

囲碁とお酒と温泉と。贅沢な合宿を開催

コロナが流行ったこともあり、もう教室には通っていないのですが、その先生がフレンドリーないい方でね。いつの間にか「先生の会」みたいなものができあがって、今はそちらの会に通っています。

すっかり生徒同士も仲良くなり、ある時から夫が企画して始めたのが、「囲碁合宿」。先生が温泉好きなので、温泉旅館で開催しています。旅館って碁盤を置いているところが多いのですよね。

合宿では、参加者が多い時はトーナメント戦、少ない時は総当たり戦で、ひたすら対局をします。決勝戦は先生に大盤解説をしてもらって大盛り上がり。贅沢ですよねえ(笑)。

多い時で16人ほど集まることもありますし、時には前日から前乗りしている人も。碁を打って、美味しいものを食べて、温泉につかってと、すこぶる充実した時間を過ごしています。

囲碁教室を探してくれたのは夫ですが、何かを始める時に、まずは教室に行くというのはとてもいい手段だと感じます。何よりいいのは、周りが皆初心者だから、「わからない仲間」ができること。大人になって、趣味を通じてできた友人たちとの関係は、とても新鮮です。

ほかにも、日本推理作家協会の「囲碁同好会」や川端康成先生がお作りになった「文人碁会」など、作家同士で囲碁を楽しむ、なんてことも。皆さん強くて、びっくりです。

囲碁の魅力は「考える」ことだと思っています。相手の打つ手は簡単には読めないものの、一所懸命考えていると数手先までは読めるようになる。そうやって、必死に考えるのが楽しいんですね。

子どもの頃は、本を読んでいると周りの音が聞こえなくなるタイプで、「呼んでも返事をしない」と家族から不評を買っていました。集中して囲碁を打っている時もやっぱり周りの音が聞こえなくなるのですが、その感じは結構好きです。

大人になると頭を使う機会が減るので、何かに夢中になる時間って良いものだなと思います。小説を書いている時ですか? 私は頭を使わずに書いてしまうので……。(笑)