歳を取ったことをはっきり自覚するのは、いったいどういうときだろう。

たとえば睡眠。若い頃は「すぐ寝るアガワ」で名を馳せていた。

女友達と二人で地方の旅館に泊まり床を並べたとき、部屋の電気を消し、互いに天井を見つめながら語り合った。たわいもない話をするうちに、友達が失恋話を始めた……らしい。

語り始めたことは覚えているが、どうやら私は途中で夢の世界へ突入したようだ。朝、目覚めると、隣の友が問いかけてきた。

「よく眠れた?」

「うーん、どうかなあ」

「いいえ、たっぷり寝ていらっしゃいました!私が真剣に恋の話をしていたのに、スウスウ寝息立ててたもん。今後いっさい、あなたに恋の話はいたしません!」

以来、数十年の付き合いになるダンフミは、私に恋愛の悩みを打ち明けてきたことがない。