定年後に散財した途端、医療費がかさんで……

昨年、夫も自身も定年退職したというA美さん。現在受け取っている夫婦の公的年金は月約21万円と標準的な額だが、支出が多く、毎月大幅な赤字が続いている。「退職した解放感から、夫とリゾートホテルに遊びに行ったりしたんです。その直後に、狭心症など複数の病気が発覚。手術やリハビリで医療費がかさみ、貯蓄はほとんど底をついてしまいました。見通しが甘かったですね」と、後悔を口にした。

深田晶恵さんは、「定年退職という収入ダウンの壁にぶつかって、家計が傾くケースは珍しくありません。危機を自覚して、今から家計を立て直しましょう」と話す。お金の管理が苦手だというA美さんは、どこから改善すべきだろうか。

「A美さんの1ヵ月の支出を見ると、まだまだ削減の余地がありますね。最初に手をつけるべきは、通信費や保険料といった固定費です。手続きさえすれば、努力しなくても節約効果が続きます。通信費は、スマホを大手キャリアから格安スマホに乗り換えれば、1台につき5000~6000円ほど削減可能。格安スマホはオンラインで契約を結ぶプランほど料金が安くなります。ただ、スマホ操作に自信がない人は、店頭での契約が可能な通信事業者を選ぶと安心でしょう」(深田さん。以下同)

保険料に関しては、A美さんも夫も過去に病気を患ったので、保障内容を見直したとしても安くすることはできないとのこと。

「ならば、思い切って解約するのも選択の一つ。病気になったときに最も頼れるのは、国の健康保険です。高額療養費制度があるので、医療費の自己負担額は多くても月5万~8万円ほど(収入により異なる)。70歳以上はさらに下がります。入院・手術時にしか給付されない保険料のために家計が苦しくなるのは、本末転倒です」