「存在感」と「何役でもできる」という二律背反

ある俳優さんと話をした時に、西田さんの凄みについてうかがいました。

三船敏郎さんや高倉健さんらスターは何の役をやっても「結局、高倉健」と言われもする。本人の存在感がありすぎて本人が透けて見えてしまうからだが、これはスターの証であり、比類なき華がある証でもある。

一方、何の役にでもなれる。完全に物語に溶け込み、本当にその役としてその世界を生きているように見える。このタイプの人もいる。

普通はどちらかしか成立しない。ところが、西田さんは両方のパターンを成立させている。しかもとんでもないハイレベルで。こんな人はいない。だから、凄いと。

老若男女問わず、それぞれに印象に残る西田さんがいる。好きな役がある。これは「存在感」と「何役でもできる」という二律背反を西田さんが覆していた証拠だとも思います。

人は二回死ぬとも言われます。一回は肉体的な死を迎えた時。二回目はその人のこと覚えている人がいなくなる時。

西田さんはまだまだまだまだ長生きするはずです。

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