人間も社会も、時代とともに容赦なく変化している
先日はコンビニで、1000円の買い物に対し店員に5000円札を渡したら「はいちょうどです」と対応され、慌てて「いやいや、今渡したの、5000円札でしょ」と指摘するも、納得のいかない表情をされてなかなかお釣りを渡してくれなかったことがあった。
デパートで買い物をしても、以前のようなテキパキとした手技と速度で品物を包める人は見当たらなくなった。高度成長期に構築された動作や対応の鋭敏さ、志の高さは消えつつある。
理由はいろいろあるだろう。
簡単に叱ったり厳しめの指導をしたりすることが許されない昨今の社会では、避けられない結果なのかもしれないが、かつてのブレのない機敏さが誇りだった時代の日本を、懐かしんでしまうような日が来るとは思ってもいなかった。
人間も社会も、時代とともに刻々と、そして容赦なく変化している。
『歩きながら考える』(著:ヤマザキマリ/中公新書ラクレ)
パンデミック下、日本に長期滞在することになった「旅する漫画家」ヤマザキマリ。思いがけなく移動の自由を奪われた日々の中で思索を重ね、様々な気づきや発見があった。「日本らしさ」とは何か? 倫理の異なる集団同士の争いを回避するためには? そして私たちは、この先行き不透明な世界をどう生きていけば良いのか? 自分の頭で考えるための知恵とユーモアがつまった1冊。たちどまったままではいられない。新たな歩みを始めよう!