まずは物件探しから始めた
閉店した時点では先が見えず、不安しかなかったという齊藤さん。「でも、どこに行ってもみなさんが『ぜひ再開してほしい』『待ってるよ』と声をかけてくださるんです。こんなに待っていてくれる人がいるのだと励みになりましたね。ご支援もびっくりするほど集まって、多くの方の熱意を感じました。いつかは再開しよう、するしかないと思って、まずは物件探しから始めました」
広さもほどよく、ピアノやアコーディオンなどの楽器演奏ができて、店内で全員で大声で歌うことが許され、70代、80代の常連メンバーも来やすいことが条件。そして家賃も折り合えるスペースを求めてまずは新宿近辺から探し始めたという。
そして、高田馬場駅から歩いてすぐの物件が見つかった。新店舗はビルの1階でエレベーターを使わずに入ることができる。防音設備を含めたリノベーションを済ませ、新宿店で使っていたピアノやテーブル、椅子などの家具はそのまま運びこんだ真新しい店内は、とても明るく、前の店舗よりも広く感じる。
この新店舗での再開をことのほか喜んでいるのが、歌声喫茶ともしびをホームグラウンドとして活動してきた男性コーラスグループ「ベイビーブー」の5人。11月22日のオープニングにももちろん駆けつけるという。
「2011年にベイビーブーのメンバーが初めて店を訪れたときのことは今でも覚えています。若い彼らはこの店に場違いで、スタッフが追い返そうとしちゃったんです」と齊藤さんは笑う。その後、ベイビーブーはこの店でかけがえのない存在となった。