電力の安定供給に
欠かせない日常点検
いよいよ発電所の施設内部へ。火力発電所では、まず、石炭などの燃料をボイラーで燃やします。約1500度の燃焼温度で水を約600度の蒸気に変え、発生した蒸気の力でタービンを回転させて発電する仕組みです。安全のためヘルメットを着用して建屋に入ると、会話が聞き取れないほどのうなりを上げる巨大なタービンが2機。大きさに圧倒されつつも、電気をつくる頼もしい存在を間近で確認できました。
次は、発電設備など発電所全体の運転状況を監視・制御する「中央制御室」を窓越しに見学できるスペースへ。
「正面に見える制御盤で、現在の発電機出力や蒸気の温度などを確認しています。モニターでボイラー内の燃焼状態も見られますよ」という説明に、坂下さんは「本当だ、あの赤く見えるところですね」と興味津々。「ここはまさに発電所の心臓部。発電所の運転状況をつねに監視・制御するための機器がたくさんあって、運転員の方たちの緊張感が伝わってきますね」。
中央制御室では、朝8時~夜8時、夜8時~朝8時の2交替制で発電所全体を見守っている、と小幡さん。「12時間と勤務が長いので、適宜休憩を取りながら任務にあたります。さらに運転員には、施設内の設備をパトロールする大切な仕事も。1回の勤務で2時間、1日に合計4時間の設備点検を毎日、欠かさずしています」。
これにも坂下さんは「毎日そんなに点検作業をするとは、徹底していますね!」と、驚いた様子。
「発電設備のほかに、石炭の燃焼時に出るガスから窒素酸化物や硫黄酸化物などを除去する装置など、さまざまな設備もあります。何かトラブルがあれば、制御盤のランプが教えてくれるのですが、それを未然に防ぐ必要があります。そのため、日常点検を怠るわけにはいきません」(小幡さん)
中央制御室の運転員は、7名ずつの4班体制。彼らを含めて、同発電所では現在、98名の北陸電力社員と80名の関係会社の人たちが働いているそうです。
「見えないところで、たくさんの方たちが電力の安定供給のために頑張っているんですね。あらためて電気が使えるありがたさを感じました」(坂下さん)