外国人目線から見た日本描写

1話目は、外国人目線から見た日本描写に、かなりビビります(笑)。難破船から連れ出したイギリス人を助けるどころか投獄して、一人は窯ゆでですから。「鎖国時代の日本は、このくらい外国から見て「意味わかんない、野蛮な国」な印象だったんだなあ」と、吃驚。

でも、その「外国人目線」や、ハチャメチャな展開が面白く、1回目はあっという間!そして、どうしても続きがみたくなるのです。

最初は男ばっかりのサムライものに見え、感情移入しにくいでしょうが、ご安心。2話、3話と進むうちに、神秘的な魅力を放つ通詞(通訳)の「戸田鞠子」(明智光秀の娘、細川ガラシャがモデル/演:アンナ・サワイ)と按針の、ストイックだけれど心に響く恋模様が描かれ、女性にもたまりません!

私は原作小説も1980年度版も見ていませんが、この2024年版に関して言えば、日本文化の描かれ方が「ステロタイプ」なんていうことは全然ないです。 むしろ、常に「切腹」さえ覚悟して生きる日本人の精神性を、原作者も製作スタッフも高く評価し、女性の生き方にも強い意志を持たせていると思いました。

但し! 日本の芸術は常に「流出してから海外で評価され、その価値を日本人が認める」とうことの繰り返しですが、今回の『SHOGUN』もまさにそう。物語に登場する様々なキャラクターを見て私は、現代の日本人が忘れて久しい「八徳」、すなわち「仁・義・礼・智・徳・忠・信・孝・悌」という言葉を想い出さずにいられませんでした。今の日本でこういう価値観の実行を見る事はまずありません。

「せっかく外国が発見・評価してくれた日本精神を取り戻さなくちゃ」と思いました。
私は決して切腹を美化しようとは思いません。でもその覚悟で生きていた日本人の精神は、やはり今より気高く澄んでいたのでは。

殊に8話で、大阪に降伏しようとする虎永の翻意を求め、自害する忠臣「戸田広松」(細川藤孝/演:西岡徳馬)の演技はすごい!  更にすごいのは、広松を止めもせず、その自刃を冷徹に見つめる虎永です。家康をモデルにした虎永は、人の心より天下人としての野望を優先する、常人離れした冷徹さを持つ人物のよう。その恐ろしさ、重厚さを見事に演じた真田広之には舌を巻くしかありません。