飛ぶ鳥跡を濁さず

この「制限の効用」について、もう少しお話しさせてください。

たとえば、家じゅうにモノが溢れかえっている人が、「マイペースに自分なりに断捨離します」と言っていることがあります。

『引き出し1つから始める 1日1か所 断捨離』(著:やましたひでこ/大和書房)

この調子ではいつまで経っても片づきません。「あなたのペースでやっていたら200年経ってもこのままですよ」と申し上げたくなる家も。現状認識が甘いのです。「ごめんなさい、少し負荷をかけますね」と言って進めていきます。

<イラスト:モドロカ 『引き出し1つから始める 1日1か所 断捨離』より>

少し負荷をかけることは悪いことではありません。人間は怠けるようにできていますからね。

私たちは怠けるために生まれてきたのでなく、いろいろなことを経験し成長するために生まれてきたという立ち位置に立ったら、やはり負荷は必要です。これを「刺激」ともいいます。

朝の短時間、ちょっとがんばって断捨離したことで、帰ってきたときの気分が全く違います。気持ちよく帰路につくことができ、出かけた先での気分も軽やかでいられます。

私は「立つ鳥跡を濁さず」ならぬ、「飛ぶ鳥跡を濁さず」をモットーにしています。旅立つのではなく、いったん飛び立って巣に戻ってくる。

さあ、美しい巣をつくるために、一緒に始めましょう。