<回答>
「物理的に離れる」が最善の道でしょう

まず、女手ひとつで娘ふたりを育て上げられたというのは、素晴らしいことですね。ただ残念ながら、感謝してもらうのは無理があると思います。

あなたが必死に働いて家族を養ったことは事実でしょうが、それでも時には、《毒親》などと呼ばれてしまうこともあるのです。

「可愛がってもらえなかった」と言われれば、親としては、そんなことはない、あれもこれもした、と言い返したくもなります。しかし、そういう反論は火に油を注ぐだけ。娘に変わってほしいと願っても、弁解や説得で人を変えることはできません。

そもそも心からの感謝というものは、言葉にならない長年の心の交流に根ざしていることが多いように思います。今の相談者ができるのは、娘の恨みつらみを弁解や反論することなく、ただじっと聞くことだけです。

とはいえ現実問題、だまって聞くというのは、つらい作業ですよね。高齢になって、できないことや失敗が増えてきたところにダメ出しまでされる。それでもなお娘と同居しているのはなぜか、一度じっくり考えてください。

これは想像ですが、次女は、結婚し海外暮らしの姉に劣等感を抱き、独り身の自分を卑下しているのではないでしょうか。「いつも不機嫌」なのも、自分の人生に満足していないからだという気がします。

さらに、自分の生きづらさの原因は母にある、と決めつけているのかもしれません。弱ってきた母親のアラ探しばかりして、まるで復讐をしようとしているようにもみえます。だとしたら、これは母と娘の双方にとって不幸な状況です。

私が懸念するのは、近い将来、相談者に介護が必要になっても、この娘に頼るのは極めて厳しいという点。怨念を持った人にケアを期待するのは無理な話です。ヘルパーや訪問看護の人に娘が気持ちよく接するかも、はなはだ怪しい気がします。

ですので、最も平和的で現実的な解決策は、物理的に距離を取ること。まだあなたが自分の身じまいを決められるうちに、高齢者住宅でも介護施設でも自分で選び、子どもの了承を得て、そこに移る。そうすれば、娘は実家でひとり暮らしを始めることができます。

この相談者はバリバリ働いてきた人ですから、まだ私は大丈夫、と思いたいタイプかもしれません。けれども年齢を考えたら、これからできなくなることも増える。まだ動ける今のうちに行動に移してほしいと思います。

Q4(娘の苦悩)につづく