松下優也さん、松下洸平さん、フランク・ワイルドホーンさん
稽古場でのインタビューで。左から松下優也さん、松下洸平さん、フランク・ワイルドホーンさん(撮影◎本社 武田裕介)
2024年の大河『光る君へ』の出演など、俳優・歌手として幅広く活躍中の松下洸平さんと、歌やダンスに抜群の個性が光るアーティストとして数々のミュージカルに出演している松下優也さん。奇しくも、デビューした年も苗字も同じ2人が、1月22日から幕が開くミュージカル『ケイン&アベル』でダブル主演を務める。ジェフリー・アーチャーのベストセラー小説を原作に、オリジナル・ミュージカルとして世界に先駆け日本で上演される話題作。音楽を手掛けた作曲家のフランク・ワイルドホーンさんも交えて、この作品に賭ける意気込みを語っていただいた。(構成◎内山靖子 撮影◎本社 武田裕介)

愛と音楽に国境はない

松下洸平さん
 

松下洸平さん(以下・洸平) フランクさんとは2017年に『スカーレット・ピンパーネル』という作品でご一緒させていただきました。そのときも感じたんだけど、フランクさんが作る楽曲は本当に力強くて美しい。まさに、ザ・グランドミュージカル。今回も、稽古をしながらこの素晴らしい音楽に触れているだけで、ワクワクして嬉しくなっちゃって。

松下優也さん
 

松下優也さん(以下・優也) うん、こんなに素敵な曲を自分が歌うんだって超興奮! 自分の曲以外でも、なんなら歌いたい曲がたくさんある。(笑)

フランク・ワイルドホーンさん
 

フランク・ワイルドホーンさん(以下・フランク) アリガトウ! 僕の音楽にはいつも感情がすごく込められています。脳みそのスイッチをオフにして、感情だけで曲を書いているんですよ。

優也 だから、こんなにエモーショナルな曲が生まれるんですね。

フランク とくに、この『ケイン&アベル』は僕の家族の物語と重なっているからね。母はウクライナのオデッサ生まれ。父はルーマニア出身。東欧から移民としてアメリカに渡ってきたので、アベルの人生とよく似ています。そんなことも思い浮かべながら、今回の曲のイメージを作っていきました。

洸平 そんなバックグラウンドがあったんですね。

優也 おまけに、今回のミュージカルは日本で初演でしょう。僕らの歌や芝居がオリジナルになるって最高! フランクさんが書き下ろした曲を、世界で最初に歌える人間になれたことがすごく光栄だなって。

フランク 僕も2人の才能に大いに期待しています。ブロードウェイだろうがロンドンだろうが、トーキョーであろうが、どこの国の俳優であるかということは、僕にはまったく関係ありません。「愛と音楽に国境はない」。それが僕の哲学なんですよ。

優也 そう言ってくださるのがすごく嬉しい。日本って、異常なまでに「他の国の人だから」って意識し過ぎていると思うんですよ。確かに言葉は違うけど、僕はまったく気にしてなくて。でも、「日本人か海外の人か」ってみんなが言い過ぎるから、その同調圧力に若干負けてしまって(笑)、「海外の人は海外の人」って思わないといけないのかなって。

フランク そんな必要はありません。その証拠に、僕の妻のタカコ(女優の和央ようかさん)も日本人だしね(笑)。素晴らしい才能の持ち主で、なおかつ美しい。タカコは僕のミューズです。今年はこの『ケイン&アベル』を始め、日本でミュージカルの仕事が6本控えているけれど、これだけ多くの仕事に情熱的に取り組むことができるのも、彼女がそばにいてくれるおかげです。