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つらいかもしれませんが、死をまっすぐに見つめたときに、死や死者が私たちに教えてくれることがあります。

「死」は私たちに「生」の大切さと愛おしさを教えてくれます。「もう思い残すことはない。やり残したこともない」と満足しておだやかな笑顔で天国に旅立つ人の死は、最高の逝き方であり生き方であったと言えます。

その一方で、若い人の死に憐憫の情を強く抱くのは、「まだまだ働き盛りで、やりたいことがあっただろうに」とか、「小さいお子さんの成長を見守りたかっただろうに」とか、故人の「やり残し」や「思い残し」を案ずるからでしょう。

こうしてみると、死者は今を存分に生きろ、したいことをしなさい、と生者を叱咤激励してくれているのだとつくづく感じます。

そのような最高の死を迎えるには覚悟が必要です。漫然と生きているのでは、ひょっとしたらつらい痛みに苦しみながら、あるいは心配事にさいなまれながら、悔いの残るような死を迎えることになるかもしれません。