誤診から不潔恐怖症へ変貌

不潔恐怖症になったきっかけは、「良い医師がいる」と母の知人が言い、その医師の診察を受けたことだった。

私は、大学1年生の夏休みに、炎天下を市場調査で歩き回るアルバイトをしていた。夏バテのせいか下痢をたびたびするようになり、その医師に診てもらうことにした。すると医師は「子宮筋腫の可能性がある」と言った。私は、子宮筋腫で下痢をするのかと驚いた。

家に戻り、母の本棚にあった家庭向けの医学の本を読んだ。現在の軽い病気から重い病気まで掲載され、カラーのページがある本と違い、当時の本は、挿絵が暗く、お腹が痛いという項目には、重大な病気しか載っていなかった。

イメージ(写真提供:Photo AC)

下痢と子宮筋腫が結びつかず、私は書店に行き、医学書を読みあさった。そのうちに、たちの悪い皮膚病、たちの悪い肺病、たちの悪い伝染病などを、医学的な基礎知識がないままに脳が受け入れ始めた。肝心な腸の調子は治らず、私は再度紹介された医師の所に行った。

医師は「産婦人科の先生は何と言っていましたか?中野さん(仮名)」と私に尋ねた。

私は「中野ではなく、私は●●です」と驚いて言った。

初診の時から、私は27歳の主婦の中野さんのカルテと間違われていたことが判明した。

時すでに遅しで、不潔恐怖症のパターンが確立してしまっていた。