ケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下KERA)と緒川たまきによる演劇ユニット「ケムリ研究室」の旗揚げ公演で披露された『ベイジルタウンの女神』(2020年上演)が再演されます。本作は、KERAが作・演出を手がけるロマンティックコメディ。俗世を知らないお嬢様・マーガレット役を緒川たまき、乞食の“王様”を古田新太が演じる。再演にあたって、作・演出のKERA、主演の緒川たまき、古田新太による合同会見が開かれました。
みんな生きるためには容赦しない
古田 :ケラっちとたまきちゃんがいきなり2人でやって来て「『ベイジルタウンの女神』再演するんだけど出ない?」って言われました。「スケジュール空いてたらいいよ」って答えたの。そしたらケラっちが「ごめん!」っていうから何かと思ったら、「古ちんの嫌いな“いい話”なんだけど、それでもいい?」って念を押されました。(笑)
緒川 :なんとか首を縦に振っていただけたらって、もう祈るような気持ちでお話ししに行ったので、引き受けてくださると聞いて本当に嬉しかったです。
KERA :その時の気分によるだろうってね。
古田 :ラストがハートウォーミングだったから警戒してたけど、作品をもう一度見せてもらったら、ちゃんと悪い奴もたくさん出てくるから安心しました。
緒川 :みんな生きるためには容赦しないっていうのも、この世界観をつくる上で大事な要素ですものね。
KERA :古ちんだったら妹の“ハム”役の水野美紀とのバランスも全然違ってくるだろうなと思っているので、台本も少し手直しするつもりです。
古田 :そうなんだ。
KERA :再演をするというと必ず「その意図は?」って聞かれるけれど、確たる意図はないんです。楽しかったから、またやりたい。
緒川 :初演はケムリ研究室の立ち上げの作品でしたので、「ぜひ最初から観たい」と思ってくださっていたのに、コロナ禍で観られなかった方がたくさんいらしたと聞いています。再演することで、1人でも多くの方に観ていただきたいですね。