「退職世帯」の平均収入が増えた理由

働き続けることを選んだ場合、統計上、「退職世帯」には含まれなくなります。

特に老後の年金収入が不十分だと感じている方ほど、働き続けることを選ぶと考えられますので、そうした方々が統計に含まれなくなることで、「退職世帯」の平均の収入が押し上げられたと考えられます。これは統計上の錯覚で、実際に一人ひとりの年金額が増えていなくても、平均額は上がります。

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また、働き続けることを選んだ方の一部が、働いている間は年金の受給資格があってもあえて受け取らないことを選択したと考えられます。そして、完全にリタイアしてから年金を受け取り始めると、年金の支給開始繰り下げ制度によって、毎月の年金の支給額が増えます。このことによって、「退職世帯」の平均収入が増えたと考えられます。

このように、十分な老後資金の蓄えがない人ができるだけ働き続けることを選んだ結果、退職世帯の平均の収入が少しずつ増えてきた、と考えるのが自然です。