野球母の朝は早い

昇り始める朝日
瑛介が車の窓から撮っている朝焼け

そして野球母の朝は早い。

父親との連携にもよるけれど、子どもに持たせるお弁当や補食、朝食を作って、自分の支度もして、出かける時間から逆算して出発の1時間以上前には起きなければならないからだ。

チームによっては、当番などでチームの炊き出しの準備のためにさらに早い時間に集合しなければならないところもある。
強豪チームの母達が朝6時にブロッコリー片手に炊事場を走り回っていたのを初めて目にした7年ほど前、まだわたしは「この世界」の厳しさがよくわかっていなかったような気がする。
朝6時前後集合だと、4時とか3時半起きなど当たり前。
遠い球場への遠征で朝2時半起き、3時半出発は珍しくないのがこの業界、間違えた、この世界。

朝って一体何?である。

でも今日も野太いダミ声が可愛い息子達の頑張りを思えば、時間に遅れて試合や練習に参加できなくなるようなことだけは絶対に絶対に避けたい一心で、早朝から母は唸りながら目を覚ますのです。

未だかつて夫に対してこれだけの執念はあっただろうか、いや、ない。
うちの夫は人に起こされたり時間を急かされたりしたことが、ない。いつも余裕たっぷりな時間に行動、出発だ。それは小さい頃から野球で培われた、当たり前の習慣らしい。

野球のためなら、1人で起きるのだ。(今はゴルフのためでも1人で起きるけど)

起きられなければ、時間に遅れたら、もう始まっている野球にその日一日入ってはいけないのだ。きっと、石より危ない硬球など使ってやるスポーツなので、遅れて途中から参加することが怪我につながりかねない、という意味もあるのかもしれないと私は思っている。

昼間の野原
気が付けば試合会場の川原には菜の花がいっぱい

ちなみに読売ジャイアンツには「ジャイアンツタイム」というものがあり、「集合8時」は当たり前に「7時半集合」だというのを、結婚して夫に教わった。
定刻の30分前にはきっちり着いていなければならない、ということ。ギリなどあり得ないのだ。

なので、優勝旅行で準備がギリギリの奥さんと子どもにイライラを募らせている選手の家族が揉めるのをよく見かける、ということで、わたしは夫の現役中、一度も優勝旅行に連れて行ってもらえなかった。恨み節。

母が1分単位で朝少しでも長く眠れることを考える傍ら、うちの息子達は小さい頃から楽しみなことを控える朝の目覚めが、とーてーもよろしい。旅行、イベント、そしていま何より野球(とくに試合)の朝。ウキウキしながら布団に入ったテンションのまま、2人ともバチーッ!と目を覚まして朝起きてくるのだ。

むかし困ったのはクリスマスイブの夜。プレゼントが楽しみすぎて夜中2時くらいには目を覚ましてツリーの前にじっと座っていた息子達に、親も明け方まで付き合いながら眠気に勝てずみんなツリーのそばで撃沈…。
ああ、あの頃の小さな僕ちゃん達はどこへ行ってしまったの!?