2020年2月25日号

[特集]
〈夫の死、離婚、ずっとシングル〉
ひとりの暮らしを楽しむ

夫を見送っておひとりさまに。離婚をして再び。たまたま結婚しなかったので──。さまざまな理由から「シングルライフ」を送る女性が増えています。誰かのために、ではなく自分のために時間やお金を使い、覚悟と知恵をもって生きていく。その楽しさと醍醐味を知る人たちの「わたし流」とは

●注目記事●

〈対談〉
気がねなく自分の人生を。単純明快、それしかない!
田嶋陽子×ジェーン・スー

30年間、軽井沢と東京を行き来して、ひとり悠々自適に暮らす田嶋陽子さん。婚姻届は出さずパートナーと暮らす、本誌連載でおなじみのジェーン・スーさん。ふたりは、「新しい価値観を柔軟に受け入れたほうが、人生は面白くなると思う」と口を揃えます

経済的に自立できれば 生き方を自由に選択できる

田嶋 特集が「ひとりの暮らしを楽しむ」ということだけれど、『婦人公論』読者は離婚や死別でシングルになる人が多いんじゃないですか。

ジェーン・スー(以下、スー) それをなぜ、未婚の私たちに語らせるのか(笑)。机上の空論になるかもしれませんが、よろしいのでしょうか。

田嶋 私は、スーさんと話すのを楽しみに来たんですよ。新刊(『これでもいいのだ』小社刊)を読ませてもらって、パートナー氏との関係性がすごく面白いと思った。婚姻届は出さず一緒に暮らして、彼は4年前から専業主夫をやっているんだよね?

スー 彼が仕事を辞めたタイミングで、私が忙しくなってきたので。じゃあ家のことをやるよと提案され、お願いしてこの形になりました。

田嶋 それがある日、体調が悪かった彼に気を使ってお惣菜を買って帰ったら、「なんで電話一本くれないんだ」と怒られて。それに対してあなたが、「せっかく買ってきてあげたのに!」と床にぶちまけたっていう話がね(参照:「風邪をこじらせたパートナーに気を利かせたつもりが……」)。男女を入れ替えたら、どこの家庭でもよくある話じゃない。

スー これまで生まれながらの男女の性分だと考えてきたものは、完全に立場や役割が作る性質だと気がつきました。私は「誰に食わせてもらってるんだ!」ってオッサンくさい台詞が喉まで出かかるし、彼も「こうなったのは誰のせいだ」という被害者目線で責めてくる。それって女性が得意だとされてきた戦法じゃないですか。そういう男女逆転の思考実験を毎日やっているみたいです。

田嶋 でも、納得して専業主夫になったわけでしょう。パートナー氏は何が不満なの?

スー 実際にやってみないと、見えてこない景色もあったようです。大人なのに誰かの庇護のもと生活をしているような肩身の狭さとか、社会との経済的な接点が、私が渡す家事への給与プラス生活費しかないことが意外ときついことだとか。

田嶋 へー、給与を払ってるんだ!

スー でも彼は、生活費のやりくりで精神的に削られるそうです。女は、それをうまくやるのが「賢い」と教えられてきたじゃないですか。でも男である彼は、そういう教育を受けていません。足りなくなったら私にお願いするのではなく、自分の稼ぎから補したい。けれども40代の男性が、家事の合間に数時間だけ働ける職場がなかなかないんだそうですよ。

田嶋 そういうパートタイムの仕事は、専業主婦たちが担ってきたからね。年功序列で男性だけが稼いで、女性は「103万円/130万円の壁」の内側に閉じ込められ、低賃金で働かされてきたんですよ。人生真っ盛りの大人を無能力な半人前扱いして! そもそも家事労働を市場価格に換算すると月収約24万円になるのに。

スー 実は、彼が昨年末から小さな商売を始めまして。幸い軌道に乗って、お客さんから評価されることが嬉しいみたいです。彼の人生が充実するのは素晴らしいことなのに、家以外に居場所ができた彼を見て「家のことをやってからでしょうが!」みたいな台詞を言ってしまいそうになって、いかんいかん、と。(笑)

田嶋 あはは! 面白い。女と男が役割を入れ替えるといろいろ見えてくるね。
(一部抜粋)


他にも、小林聡美さんのインタビュー「身軽な今だからこそ、好奇心の赴くままに」、ショコラさんのフォトルポ「小さな「自分の城」に、ひと月12万円で暮らす」、ルポ「他人だけど家族以上。 心を支え合って生きている」などが掲載されています。

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[第二特集]
〈脳卒中、心筋梗塞……寒い季節は要注意〉
「突然死」を防ぐには

発症すると、短時間で死に至ることもある「脳卒中」や「心筋梗塞」。血管の老化、過重なストレスなどから引き起こされる恐ろしい急性疾患です。40代から血管の炎症や老化は静かに進んでいても、限界値を超えるまで、自覚症状もないことが多いそう。あなたの血管も、硬くなり、しなやかさを失っているかもしれません

●注目記事●

〈脳梗塞で倒れたあの日から7年〉
未来より、目の前にある今日を大事に生きようと決めた
大橋未歩

テレビ東京のアナウンサーとして、公私ともに充実した生活を送っていた大橋未歩さん。34歳という若さの彼女にとって、脳梗塞はまさに青天の霹靂でした

脳梗塞に見舞われたのは2013年1月上旬のことでした。家でデスクワークをして普通に過ごしていた私が、体の異変に気づいたのは23時頃だったと思います。洗顔中に右手が左手に触れたのですが、左手の感覚がなくて、「あれっ?」と。幾度触れてもマネキンに触っているよう。不思議だなぁと思いながらも、特に気に留めることなく洗顔を終えたのですが……。左手で取ったはずのクリームの容器を落としてしまい、床に散乱したクリームを拭おうとかがんだ瞬間、ガクンとその場に倒れました。起き上がろうとしても、まったく体に力が入らなくて。そこからの記憶は断片的です。

家族が洗面所に駆けつけて私の顔を見たときには、顔の左側が垂れ下がっていたそうです。これは危ない状態だと察して、救急車を呼んでくれました。私は「大丈夫」と伝えようとしたのですが、「らいじょうぶ」となってしまい、「保険証」と言いたくても「ほけんひょう」になってしまう。ろれつが回っていないことから「今、自分に重大なことが起きている」とおぼろげな意識の中で思いました。いつの間にか救急車に乗せられていて、「この症状は脳だと思うので、MRIかCTがとれる病院へ急ぎます」と言う救急救命士さんの声を聞きながら、「喋れなくなったら失業するのかな」「もしかしたら死んじゃうのかな」と、どこか不安になったことも覚えています。

倒れてから15分ほど経過した頃、すーっと意識がクリアになると同時に体が自由に動かせるようになり、病院に着いたときには自力で歩けるようになっていました。安堵したものの、MRIを受けた結果、脳の4ヵ所で脳梗塞が起きていることが判明して。血管を詰まりにくくするための点滴を受けながら、10日間の入院生活を送りました。

入院中、どうしてこんなことになってしまったのだろうと幾度も考えました。親戚に脳卒中を経験した人は一人もいないし、私は34歳と若く、病気知らずで、血圧やコレステロールの数値が高いと指摘されたこともなかったのに。(一部抜粋)


他にも、 「〈血管老化度チェックテスト付き〉切れない、裂けない、詰まらない血管を作る生活習慣10」が掲載されています! 

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[読みもの]

〈親子で『連獅子』を世界発信〉
「三度目の正直婚」で親バカになりました
市川右團次×市川右近

歌舞伎界だけでなく、テレビドラマでも活躍中の市川右團次さん。三度目の結婚で授かった息子・右近くんとのほほえましい様子がSNSやバラエティでも話題に。最近の活動からプライベートまで、おふたりに聞きました

──2019年9月20日、ラグビーワールドカップ日本大会の開幕式で、おふたりが登場し、『祝勢揃壽連獅子』の「毛振り」(首を使って長い毛を大きく回すこと)を披露。日本大会の公式マスコット「レンジー」にちなんだ粋な演出に、会場は大いに沸きました。

右團次(以下、父) ラグビーワールドカップの開幕式で親子で、『連獅子』をやらせていただきました。君は踊ってみて、どうだった?

右近(以下、子) 毛振りをするのは初めてで、疲れたけれど、とても楽しかった。

 公式マスコットの「レンジー」は、男女のカップルに見えてしまう。実際の連獅子は親子だということを世界に発信しようということで、今回お話をいただいたときは、ちょっと不安だった。君はまだ9歳で、それまで親子で『連獅子』を踊ったことはないし、チャンスは1回きり。しかも、世界40億の人が見るわけだから。でも、覚悟を決めて稽古するしかないという決意に至って……。練習用の毛を早めに借りて、何度も稽古したよね。ちょうど君はドラマ『ノーサイド・ゲーム』を撮っていた最中だったから、その合間を縫いながら……。

 最初は毛が足にからまって、難しかった。

 時には頭にからまってソフトクリームみたいになったりして、大変だったよね。

 振っている間は、どうなっているのか、自分ではよくわからないし。

 でも、本番では緊張はしなかったんだよね。

 すごく人が多かったけれど、普段の舞台でもお客様が大勢いるから。ただ、広さがぜんぜん違った。

 緊張するヒマがなかったというのが正直なところかな。グラウンドの芝生にマットを敷いて演じるので、芝生を傷めないよう、リハーサルは30分以内。本番2日前に段取りを確認して、1回踊っただけだったし、本番は2分半だったから。

 あっという間だったね。(一部抜粋)

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[グラビア]

〈氷上に舞う!〉
Men’s figure skating 2019-20
髙橋大輔
撮影・文◎田中宣明


他にも、

〈独占告白 弟たちを葬儀に呼ばなかった理由〉
父・宍戸錠は最期の瞬間までハードボイルドだった
紫しえ

〈寄稿 歌姫ふたりの選択を、同世代作家はこう見る〉
山内マリコ
安室奈美恵と浜崎あゆみ── 20年違いで母になって

〈メインストリートから一本入ったところに、 刺激的な世界があった 〉
生田斗真×中山優馬
先輩・後輩ではなく、 役者としてぶつかり合って

〈レスリング姉妹対談 〉
川井梨紗子×川井友香子
母から受け継いだ五輪の夢を姉妹で叶えて

〈コンサートレポート〉
230万人を熱狂させたツアーを終えて

5人の歩みは止まらない

などなど、盛りだくさん。ぜひご一読ください!!

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