退団後は見える風景が変わった
そんなちえさんと宝塚時代は一心同体のように過ごしていたので、娘役トップを務めていたときも、舞台の初日前に緊張することはまったくありませんでした。ちえさんという大船に乗っていればすべて大丈夫だろうと頼りきっていたんですね。
それが、宝塚を退団して自分ひとりだけの個人戦になったとき、初めて舞台の初日に緊張するようになりました。あれ? 宝塚時代はぜんぜん緊張しなかったのになぁって。それだけ、ちえさんに支えてもらっていたのでしょう。
その反面、それまで背負っていた重圧から解き放たれた感覚も味わいました。宝塚時代には、娘役トップの責任感とプレッシャーを常に感じて、自分で自分を追い込んでしまっていたので。それこそ、私がひとつミスをしたら組全体のマイナスになり、まるで「世界が滅びる」くらいの失敗に感じてしまって。
でも、退団してからは「自分のミスは自分自身の問題」だと、ある意味、肩の力が抜けたと言いますか。おかげで、舞台の上で自分がやるべきことに全力で集中できるようになり、この10年間で見える風景が変わってきたのだと思います。