大久保 小木さんは、意外と新しい感覚の持ち主だから大丈夫。小木さんの奥さんもいい人だし、固定観念にとらわれない夫婦なんで。
清水 新しい感覚、とかいう話じゃないのよ。日々の生活で、だんだん存在が邪魔になるから。
大久保 一緒に住むと言っても、一部屋貸してもらって、私は生活費を入れる。一週間に一回くらい「大久保さん、一緒にごはん食べる?」と誘ってもらう。それは生存確認のためね。それ以外はおとなしくしてるし、小木さんのメリットとしては、こういう行き場のない老女を養っているという優越感が持てる。高齢化社会に貢献してる感覚を味わえるわけだから。これって、Win-Winの関係じゃないですか。
清水 今のあなた、ゴーン被告ばりの身勝手な話をしていることに気づいてますか?(笑)
大久保 えっ、やだ。そんな自己チューな会見してた?
小木 ただ、最初にこの話を聞いた時は当然イヤだなと思ったんだけど、こういうふうに「小木さんは新しい感覚の持ち主」とか言われちゃうと、悪い気はしないのよ。
清水 ダメだよ。まるめこまれないで。一番イヤなのは、奥さんなんだから。
大久保 そこまで言うなら、私は清水さんちでもいいんですけど。
清水 私もイヤだよ。それに、よほど看取られるような病気でもない限り、家族がいたってみんな最後は孤独死なのよ。独身の人は、最近そういうのをすごく気にするみたいだけど。
大久保 数時間後でも、家族がやってきて悲しむ、という一連の流れがあるじゃないですか。私の場合、友達が葬儀では悲しんでくれると思うんですけど、できれば早めに遺体を発見してもらいたいし、早めに悲しんでもらいたい。
小木 それはわかる。でもさ、うちにきたとして、大久保さんが一番長生きしたらどうすんのよ。
大久保・清水 (失笑)