「そこにすっと他人が入ったら、いい感じの緊張感が蘇る。その役目を買って出ましょう、と私は言っているわけで」(大久保さん)

 

大久保 とにかく、今後は私のようにひとりで暮らす女性は、どんどん増えていくと思うんです。面倒をみる側の人数が圧倒的に少ないんだから、お互い気心の知れた友達夫婦のところに住むのは、社会的に十分アリな時代になってくるはず。

清水 その通りだよ。だから、近所に住むならわかる。なんで同じ家に住もうとするのよ。

小木 かつては考えられなかった、シェアハウスなんていう住み方もいまは受け入れられているわけだし、そういう新しいスタイルももしかしたら……。

清水 そんなに甘やかして、大丈夫? この人、本当に押しかけてくるよ。

小木 しょうがない。事務所のトップだから。(笑)

清水 家庭は、人にとってホッとする場所でしょ。そこに大久保さんが入ってくると、小木夫婦も多少なりとも緊張するってことが私は言いたい。

大久保 でも、長く一緒にいれば夫婦もギスギスするじゃない。

清水 まあ確かに、ギスギスっていうか、会話がなくなる。

大久保 そこにすっと他人が入ったら、いい感じの緊張感が蘇る。その役目を買って出ましょう、と私は言っているわけで。

小木 会話がないのも、気持ちいいんだけどね。あれはあれで、夫婦にとってはいい時間なのよ。大久保さんは結婚してないから、わからないでしょうけど。

大久保 ふーん。

小木 じゃあさ、良子さんのところが一部屋空いてるから、そっちでどう? 良子さんなら、たぶんOKって言うと思うよ。

大久保 良子さん、新しい感覚だしね。

清水 勝手に決めた。(笑)

小木 ただし、彼女の介護はお任せすることになるけどね。これでうちはWin-Winかな。

大久保 う~ん、それは考えさせていただくわ。

〈後編につづく


清水ミチコさんの好評連載「三人寄れば無礼講」書籍化!

2人×18回、“今、会いたい人”を招いて繰り広げられる、ざっくばらんで愉快な鼎談。

・第1回:南伸坊 / YOU
・第2回:三谷幸喜 / 大竹しのぶ
・第3回:林のり子 / 吉本ばなな
・第4回:養老孟司 / 甲野善紀
・第5回:野沢直子 / 藤井隆
・第6回:蛭子能収 / 五月女ケイ子
・第7回:井上陽水 / 山下洋輔

など