現在、父は95歳、母は86歳になりますが、マンションに移り住んだ頃はまだ若く、フットワークも軽かったので、2つの家を行ったり来たりしていました。音楽鑑賞が大好きな父にとっては、長年収集したレコードを、こだわりのレコードプレーヤーとステレオで聴く趣味の家。
母にとっては、集めに集めた北欧の食器や、テキスタイルのコレクションなどを保管するための倉庫。そのほかにも、父の年季の入った木工工具の数々に、膨大な量の書籍とアルバム……。
家具デザイナーの父と、テキスタイルデザイナーの母は、揃いも揃ってモノが好き。私は2人がスウェーデンの国立美術工芸デザイン大学へ留学していた時に生まれ、その後も日本とスウェーデンを行き来しながら育ちました。
高価ではないのですが、希少価値が高いモノがたくさん。こだわって選び抜いたという思い入れも強いのです。
両親の作品も保管されていて、制作過程や製品化された時のパンフレットなどの資料も含め、お宝だとわかっていただけに、「一気に処分してしまおうよ」と提案するわけにもいきませんでした。