村人の助けで事業が軌道に乗り
そんな看護一筋で生きてきた江森さんが介護事業を始めたのには、どんな経緯があったのだろうか。
江森さんが故郷の四賀に足を運び始めたのは、子育てが一段落した50代半ば。兄夫婦が継いだ実家の農作業を手伝うという名目で、村で過ごす休日を楽しみに通うようになったのだ。
「農作業の手を休めて眺める景色は、ため息が出るほどきれいでね。馴染みのあるお国言葉で会話ができるのも、嬉しいものだなあと思ってしまって」
江森さん夫妻はしばらくすると四賀に小さな山小屋を建て、借りた畑で週末農業を楽しむようになる。そこで出会ったのが、年齢をものともせず農作業に励む元気な高齢者たち。
農業初心者の江森さんを気にかけ、トラクターで硬い土を耕したり、余った苗を分けてくれたりと、親切にしてくれた。自分の愛する田んぼの風景や整備されたあぜ道は、この人たちが営々と守ってきたのだと実感し、感謝の気持ちが湧いてきたという。