母より先に逝ってしまったら
そのころ、お母さんを介護施設に入れている真由に一本の電話が。
電話の主は真由のお兄さん。どうやら施設のお母さんが転んでけがをしてしまったようです。
幸いにも骨折はしていないながら、施設に行ってみてきてほしいと話したお兄さんですが、真由は真由で自身の乳がん治療のために病院に通院する予定がありました。
でもお兄さんの奥さん・裕子さんが施設に行くのにいい顔をしないそうで、やむなく、病院の予定をキャンセルして母親に会いにいくことに……。
「できれば私がサポートしてあげたい。でもこの体では限界が…。そもそも私のほうが先に死んじゃったら、母はどう思うんだろう」
真由は一人、悲しそうにつぶやくのでした。