あるコミュニティの食事会へ
1000人、5000人、1万人と増えるたび、そこへ到達すれば何かが変わると思っていた。
フォロワーが1万人に達したちょうどその頃。あるコミュニティの食事会があった。社交性もなく人と喋るのが下手くそで、その類の予定は少し憂鬱に感じる私も、その日は違った。
もう昨日までの私とは違う。きっといろんな人と話がはずみ、たくさん友達ができるぞ。なんてったってフォロワーが1万人になったんだから。
「さあフォロワー1万人の私が来ましたよ!」という気持ちで誇らしげに集合場所へ到着した。
続々と集まってくるメンバーたち。2、3人で連れ立って仲良くお喋りしながら、または一人ずつで来て、集合場所で「久しぶりー」と言いながら小さなグループがどんどんできていく。それを眺めている私。
その後、人々は集合場所からゾロゾロと食事会の会場へ移動し……あれ。なんか思ってたのと違うぞ?
食事会が始まり、隣の人に「斉藤ナミさんですよね。わー、本物だ。お会いできて嬉しいです」と言われ、一瞬鼻の下が伸びることはあっても「あ、はい。初めまして」と挨拶するとその先に何を言っていいかわからない。天気の話をするか、どこから来たか尋ねるか、ぐるぐると迷った挙句、黙って食事をした。
食事という作業があるうちはまだいいが、その後の雑談タイムに周りの輪に入れず、何度もLINEを確かめるふりをしたり、トイレへ逃げ一人でツムツムして時間を潰したりする頃には、もう帰りたくて仕方なかった。
こ、これは……いつもと変わらない!
フォロワーが増えたからなんだというのだ。900人のころと同じ。私はいつも通りコミュ障で、一人ぼっちだった。