岡山天音さんのコメント

フンドシで踊る三番叟の場面は、春町がこれまで表現したことのない感情を表しているシーンでもあったし、春町にとってのターニングポイントでもあったと思います。

いろいろ(指導の)先生とも相談させていただいて、練習して臨んだので思い出深いです。 

春町にとって、好きな人が増えたんじゃないかと思います。そう言うとすごく素朴に聞こえますが、 春町の世界にとっては割と革命的な夜だったんじゃないかなと思います。

(『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』/(c)NHK)

◆春町を演じながら思うこと 

蔦重と仕事をするようになってからは、春町の人生が“人と出会う期”みたいなものに突入していたんじゃないかなと思います。「こんな人間もいるんだな」ということが短いスパンで訪れるようになったんじゃないかなと。 

春町は、人として未熟な部分を抱えて生きてきた人だと思うので、赤子がちょっとずつ歩けるようになっていくみたいに、小さく小さく実は成長しているところが、春町を演じさせていただくうえで感じる魅力です。

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●恋川春町<倉橋格>(こいかわ・はるまち/くらはし・いたる) 

駿河小島藩に仕える武士。挿絵も文章も書ける戯作者。鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助さん)から出した、『金々先生栄花夢』は大ヒット、その後に続く黄表紙の先駆けとなる。本屋の新参者の蔦重とは、親交のあった朋誠堂喜三二(尾美としのりさん)の仲介で知り合う。蔦重とは次々と作品を出すものの、時代の変わり目で発表した『鸚鵡返文武二道』が、幕府の目に留まり、思わぬ事態となっていく…。