ところが22年、由美さんはガクンと体調を崩し、検査の結果、がんの再発が判明。ステージ4と告知を受けた。しかも全身に転移しており、そこから入退院を繰り返すようになる。
「彼女はひとり暮らしだったので、自宅療養期間のほうが心配で。私は自宅で料理をつくって彼女のもとに運んでいたのですが、ほかのお友だちも、料理を届けがてら見舞いに来ているようでした」
そこで遠藤さんは、情報を共有するためのLINEグループをつくったらどうかと、由美さんに提案したが……。
「彼女は、『趣味で習っているフラメンコの最後の発表会を控えているのに、弱気なことは言っていられない』と却下。実際、ダンス仲間のサポートを受けながら舞台に立つことができました。
でも、そこで力尽きたのでしょう。24年の11月から症状が悪化して痛みもひどくなり、入院先の病院で緩和ケアを勧められました。つまり、これ以上の治療は困難だと通達されたのです」
由美さんは故郷・仙台の緩和ケア施設に入ることを決めたが、施設の受け入れ態勢が整うまでは自宅で過ごすことに。
「在宅医療、訪問看護などの在宅介護サービスを受けられるとはいえ、それ以外の時間はどうするのか? と、私は動揺しました。そして自分ならどうしてほしいだろうと考えた末、再びLINEグループをつくろうと持ちかけたのです。すると彼女はスマホを取り出し、知り合いの中からメンバーを黙々と選び始めました」
30人ほどがLINEでつながった。そして由美さんが一人になる時間がないよう、都内に暮らす20人で24時間態勢の介護シフトを組んだのだ。