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暮らしのなかで頼りになるのは、遠くの親戚か近くの他人か。楽しい時間を共有しながら、なにか困ったことがあれば助け合う――。ゆるやかな関係を築いている人たちに話を聞いた。(取材・文:丸山あかね)

2よりつづく

がんの友人を支えた即席LINEグループ

友人の生き方を通して、人とどのようにつながって生きるべきなのか、深く考えた人もいる。都内在住の遠藤あけみさん(65歳・自由業、仮名=以下同)は、静かなトーンでこの1月にがんで亡くなった友人・由美さんのことを語り始めた。

「脳裏に浮かぶのは明るい笑顔。姉御肌で、なにより面倒見のいい人でした。食事会や旅の企画をしては、『みんなで楽しもうよ』と呼びかけて……。彼女の周りにいた誰もが、由美さんのおかげで楽しい経験をすることができたと感謝しているはずです。もちろん私も」

遠藤さんと由美さんが共通の友人を介して知り合ったのは、13年。ともにアート関係の仕事をしていること、シングルであること、家が近いことなどから意気投合したものの、ほどなくして由美さんはがんを発症する。

「この時は患部を切除する手術を経て、日常生活に戻ることができたのです。でも、おそらく彼女は再発を覚悟していた。やりたいことは全部やると言って、精力的に夢を叶えていきました。

フラダンス仲間とハワイへ行ったり、グルメ仲間とヨーロッパを旅したり。私も温泉旅行に誘われて、何度もご一緒しました。いつも笑いっぱなしの楽しい旅で、彼女が大病をしたことなどすっかり忘れていたのです」