最後に頼るのは嵩
嵩への思いを一言でいうのは難しいです。父を早くに亡くし、母親の登美子とはあまり接点もなく、うまくいっていなかったので、身近にいるたった1人の家族が嵩です。千尋は空気を読んできた人間なので、のぶさんや嵩のような自分のやりたいことを突き通す人に惹かれていたし、それを応援したいと思っていた。嵩をずっと見守っていましたし、嵩の描く漫画をいちばん好きだったのは千尋だったと思っています。
上下関係のある兄弟ではなくて、対等というか。もちろん友達とも違うし、お互いを鼓舞しあって応援しあっていた。そこに嫉妬心はありながらも、お互い近くに親がいないので、千尋が最後に頼るのは兄貴だったし、嵩は千尋だったと思っています。
母親に対しては、千尋は嵩のように優しく接することはできませんでした。唯一の母親ではありますが、登美子の生き方は千尋には理解できても共感できなかったと思っています。嵩と千尋の違いは意識しながら演じていました。本当にいろんな感情があったと思います。優しく接したい思いもあったけれどさみしさや怒りもあるので難しかったですね。
のぶさんとは幼馴染で小さいころから一緒に育っているので、最初は恋心というより憧れから入っていると解釈していました。時代に負けずに自分の道を進む姿に惹かれていた。それがだんだん恋心に変わっていったと思っています。それでも、千尋はのぶさんと兄貴が結ばれることを望んでいたと思っています。