危機遺産リスト入りが検討されたことも

私は4日間の滞在中、グレート・バリア・リーフに囲まれたハミルトン島という可愛らしい島に宿泊しました。緑が豊かで、あちらこちらに「コカトゥ」という名のいたずらっ子の鳥が食べ物を狙っている様子が見られます。乗り物は巡回のバスと、ゴルフ場で使うようなバギーだけ。島内をぐるりと散策するには歩くのが一番という、過剰な文明の利器を使わない暮らしがそこにはあったのです。

この透き通ったグレート・バリア・リーフは、約10年前から、海水温の上昇が原因で起こるサンゴの白化現象が深刻な問題になっています。過去には危機遺産リスト入りが検討されたことも。美しい環境を守り、後世に繋げていくには人間の努力が必要。それを忘れないためにも、世界自然遺産はあるのです。

サンゴの砦に守られ、多くの生物が生きていくことのできる海洋世界が、これからも続くことを願ってやみません。

 

コカトゥ
コカトゥ(和名・キバタン)。オウムの仲間。体長約50センチ(撮影:富井義夫)

 

世界遺産登録名/グレート・バリア・リーフ
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