坂本冬美さんと五木ひろしさん
坂本冬美さんと五木ひろしさん(撮影:編集部)
2025年7月5日、歌手・五木ひろしさんのデビュー60周年記念特別公演が、東京・明治座で開幕しました。特別出演に坂本冬美さんを迎え、明治座で約20年ぶりに演じるという芝居『花のお江戸の快男児 喧嘩安兵衛』と、数々の名曲を競演する『スペシャルショー』の豪華2本立てのステージ。初日からパワフルな公演が展開され、多くの観客を魅了しました。熱気あふれる公演の様子を紹介します。(取材・文:『婦人公論.jp』編集部)

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豪快な大立ち回りが注目の第一部

第一部の芝居『花のお江戸の快男児 喧嘩安兵衛』(作:小野田勇氏)は、生誕100周年を迎えた故・三木のり平氏の演出。明るく楽しい時代劇となっています。

五木さんは『忠臣蔵』のモデルとなった赤穂浪士のひとり、中山安兵衛(堀部武庸)を熱演。安兵衛に心惹かれる武家の娘・幸は坂本さん、安兵衛を支えるおかん婆さんは笹野高史さんが演じます。このほか太川陽介さん、元宝塚歌劇団の麻乃佳世さんら豪華なキャスト陣が脇を固めます。

みどころは劇終盤で見せる五木さんの大立ち廻り。喜寿を迎えても華麗な身のこなしは健在で、豪快に悪党たちを斬っていく姿は爽快。決闘に向かうシーンでは、五木さんが花道を全力で駆け抜けるところにも注目です。

坂本さん演じる幸は気丈で男勝りな娘という役どころですが、劇が進むにつれ次第に乙女の顔になる様子が微笑ましくもあります。笹野さんのおかん婆さんはまさにハマリ役。コミカルなセリフ回しと機敏な動きで観客の笑いを大いに誘っていました。

写真提供:新歌舞伎座 (C)田中聖太郎