教育格差は日本においては重要な政策的課題

矢野経済研究所が2024年におこなった調査によると、このような子ども関連のビジネスの市場規模は2023年度に10兆6962億円となっており、2024年度には10兆7938億円に達すると予測されています。小学生以下の市場は約1兆円、子ども向けのスポーツ教室の市場は5000億円と言われています。これらの市場は、少子化や物価上昇による節約志向などの影響を受けながらも拡大傾向を維持しています。

今後もますます子どもの数は減っていきますが、市場自体に大きなボリュームがあり、放課後の過ごし方も多様化しているため、社会情勢の実情を踏まえて多種多様な教育ビジネスが登場していくことが推測されます。

『教育ビジネス 子育て世代から専門家まで楽しめる教育の教養』(著:宮田純也/クロスメディア・パブリッシング)

ただし、このような教育は義務教育ではないため、家庭の教育リテラシーや経済状況などによって大きな差が出ることが問題となっています。「体験格差」という言葉に代表されるように、家庭の経済格差が認知的スキルだけではなく非認知的スキルの習得に影響すれば、世代格差がさらに広がってしまう事態が生じます。

幼児教育を含めて、教育格差は日本においては重要な政策的課題になっているため、行政によってさまざまな機会の是正策が講じられています。