中年を過ぎても夢を諦めず
林 その後、45歳で音大受験を決意して、47歳で入学なさったというのは劇的な変化でしたね。
池田 6歳からピアノを習って、中学高校時代は音大に行きたかった。つまり漫画家より先にあった夢だから、「これを叶えないうちは死ねないぞ」と思って。
林 中年を過ぎたら夢は追いにくくなるけれど、諦めなかった。
池田 声楽家の東敦子先生をご紹介いただいて、指導のお願いに行ったんです。そうしたら先生が、「そんな体で歌なんて歌えません。まず太っていらっしゃい」と。オペラ歌手って体格がいいものね、と思って太ろうとしたのだけど、私、食べても食べてもなかなか太れなくて。
林 あら、嫌な感じ。(笑)
池田 お相撲さんは寝る前に山ほどご飯を食べることを思い出して、寝る前におにぎりとかいっぱい食べるようにしたら、最終的に25キロ太りました。
林 理代子さんはもちろん才能がすごいのだけど、同時に努力の人。音大でも猛勉強をして、ついにプロのオペラ歌手としてデビューしてしまうのだから。
池田 幸い注目もしていただいたので、オーケストラをバックに大ホールの舞台に立つ機会に恵まれたのは幸運だったと思います。東先生はよく「1回の本番は数百回のレッスンに匹敵する」とおっしゃっていたけれど、本当にその通りなんですよ。