林 最近は、オペラ公演のプロデュースもなさっていますね。
池田 才能ある若い人たちに、舞台の経験をしてほしいと思って始めたもの。だけどオペラって本当にお金がかかるから、私の貯金は減るばかり。(笑)
林 『ベルばら』で築いた私財を、オペラのために。なんて美しい贅沢!
池田 6月の公演は、二十数年前に中村福助さんから「卑弥呼をやりたい」と頼まれて書いた脚本なんです。でも歌舞伎と日舞とオペラが融合した舞台はスケールが大きすぎて実現できなかった。これも「世に出さないうちは死ねないなあ」と思って、必死で今、準備を進めています。衣装も自分たちで作るから家じゅう大変な状態。(笑)
林 日舞といえば、同じお師匠さんについてお稽古していた時期がありますよね。
池田 私が先に習っていて、「すごく楽しいから一緒にやりましょう」とお誘いして。
林 周りも忙しく働く女性たちだったから、夜10時半頃からお稽古が始まって、夜中の2時頃まで夢中で踊りましたね。
池田 発表会も、それはそれは華やかでした。
林 怖いもの知らずで、「藤娘」を踊らせていただいたこともありました。先日、市川團十郎さんと対談をしたら、「あの藤娘、どういう神経で踊ってたわけ?」と皮肉たっぷりに言われましたよ(笑)。「プロじゃないのだし、自分でお金出してやってるんだからいいじゃないですか」と答えたら、「高校生の自分は、『けっ』という目で見てた」と。
池田 私たちのほうが先にお師匠さんに習い始めたから、團十郎さんは弟弟子なのよ。(笑)
林 たまたま女舞いだけ、私たちの師匠のところに来たんですけどね。
池田 そうそう。