かつて丈右衛門を名乗った男にございますかな

しばらくして口を開いた意次は「ありがた山、戯作の話はよそでしろ」と告げますが、食い下がる蔦重は、源内の一件での判断の誤りが後を引いているのでは、と指摘します。

すると「仇は俺だ。あやつは俺のせいで斬られた…俺のせがれだったから斬られたんだ!仇を討つなら俺を討て!」と反論した意次。

続けて、「ならばお前のせがれなら斬られたのか!?三浦のせがれなら!?」と伝えるとともに自分の脇差を蔦重に差し出します。

(『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』/(c)NHK)

対して「俺は…筆より重いもんは持ちつけねえんで」とこたえた蔦重は、意次からその場より下がるように申し付けられます。

蔦重がその場から去ったのち、「殿はあの者がお好きですな。いつも怒ったふりで遠ざけておしまいになる」と話した三浦。

対して「先のある者が命を散らすのを見とうないだけじゃ」と意次がこたえると、「ありがた山の見たものは、かつて丈右衛門を名乗った男にございますかな」と疑問を投げかけます。

すると意次は土山を呼ぶように申し伝え、「恐らく事の起こりは蝦夷だ」と強い口調で三浦に告げたのでした。