133の国と地域を旅して、625ヵ所もの世界遺産を訪れている写真家・富井義夫さん。40年以上にわたって世界中を巡ってきた富井さんによる、『婦人公論』での新連載「世界遺産を旅する」。第4回は、「グランプラスのフラワーカーペット」をご紹介します
美と歴史が調和した豪華絢爛な広場

ベルギー
皆さんはベルギーといえば、何を思い浮かべますか。チョコレートやワッフル? あるいは、『フランダースの犬』『青い鳥』などの童話かもしれません。私の場合、やはり世界遺産です。
2016年、ヨーロッパ周遊22日間の旅の最終目的地として訪れたのが、首都・ブリュッセル。フランスやドイツ、イギリスの間に位置し、商業都市として発展してきた街です。
路地を抜けた先にあるのは、街の中心となる大きな広場。ロの字形に、市庁舎、王の家など豪華絢爛な33の建物が並んでいます。なかでもギルドハウスと呼ばれる、職業別の組合(ギルド)が利用したという建物は、屋根の近くに業者をイメージした紋章が掲げられるなど、独自の文化が見てとれるのです。
今の姿になったのは17世紀。戦乱で大部分が焼失した建物を、ギルドの人々はわずか4年あまりで再建しました。かつての木造から、バロック様式の石造りへと生まれ変わったのです。