「愛実を知る旅」
愛実は、私の周りにいないタイプ。最初に西谷弘監督にお会いした時に「どう演じていいか迷っています」というお話はしました。今も私にとって愛実を知る旅をしているみたいな感覚です。
愛実は、人生を遠回りしている人というイメージでした。たとえば、小学生の時に学校からの帰り道に近道を探すじゃないですか。でも、近道しようと思うと藪の中をくぐったり、塀を乗り越えたりしなくちゃいけない。
愛実は刺激的な道に興味があるし、整備された通学路をちゃんと通って安全な道を歩いていても、退屈を感じてしまう。いつもと違う道や遠回りすることで見られる景色にあこがれを感じている。別の道を選択しようと思えばできるのに、ずっと正しいとされる道を歩いてきてしまった人。
だからこそ、物語が進むにつれ、ラウールさんが演じるカヲルの自由さ、奔放さに心地よさを感じているのだと思っています。カヲルの「普通とされる価値観」にとらわれないところが、愛実にとって新しかったんでしょうね。