フラットな人だからこそ

愛実は、誰かに共感してその人のために寄り添うという意識ではなくて、「自分が頑張ってもがいた結果、誰かのためになっていた」「隣にいたら、結果的に寄り添っていた」というタイプです。だから、流されそうで流されないし、容易に染まらない。フラットな人。

対カヲルについてもロジカルには考えていないんです。ラウールさんは台本と違う演技をすることがあって、自由にのびのびお芝居されていました。監督もそれを面白がっている。私は本当に先生の気持ちで、「あ、そう来るんですね」と受け止めるだけですね。愛実もカヲルさんに対してそういう感じでいるのかもしれません。

木村文乃さん(撮影:本社 奥西義和)

カヲルに字を教えることは、恋愛要素の1つだと思われているかもしれません。でもそれだけじゃなくて、恋と愛の違いかなって考えるようになってきました。恋って自分勝手でもいいけれど、愛は「相手を守ること」が入ってくると感じています。

カヲルのためを思って字を教えているだけなので。カヲルさんが字を覚えて、1人で歩いていけるようになるということが、文字を教えているところの終着点だと思っています。