●死後事務委任契約の内容例

2つめは、死後の手続きを実行してくれる人を決めて、託しておくこと。当たり前ですが、死後の手続きは自分ではできません。託せる人が身近にいない場合、死後事務を請け負う民間事業者と契約するのも一案です。

その内容は、遺産配分以外の事務全般(上図参照)。ただし、普及し始めているサービスとはいえ現時点では未整備なことも多いため、信頼できる業者かどうか、慎重に検討して契約するようにしましょう。

3つめは、託した人に連絡が必ず入る手段を確保し、第三者でもわかるようにしておくこと。事前に託す人を決めても、連絡が行かなければ意味がありません。昔は手紙のやり取りが頻繁で、たいていの家に親戚や知人の連絡先を記したアドレス帳がありました。

しかし今や紙の郵便物は減り、同居している家族がいても、個人情報はスマホの中。さらにLINEだと電話番号はおろか、ニックネーム表記で誰なのかすらわかりません。現代人の情報は、思っている以上に閉ざされているのです。

ですから私は死後の意思決定について、「家族ありき」を前提としないほうがいいと考えています。子どもがいる人とそうではない人でなぜか対策が区別されがちですが、子どもがいれば安心かというとそうでもありません。実際にあったケースを紹介しましょう。