信者を迎え入れる姿を形にした
サン・ピエトロ広場

大聖堂の中に入ると、クーポラに作られた窓から差し込む光が幻想的で、心が洗われる気がしました。刻々と移り変わる光が天井に描かれた絵や柱の装飾を照らし、世界に類を見ない美しい祈りの場を演出しています。

何よりも見どころは、クーポラの上部にある展望台。そこから望む広場には、まるで両腕で包みこむような形で柱廊が並んでいます。広場を設計したベルニーニが、母なる教会が信者を迎え入れる姿を形にしたものだとか。時空を超え、天才芸術家の思いに触れた喜びに、私は鳥肌が立ちました。

バチカンと聞くと、教皇選挙を思い出した方も多いでしょう。ミケランジェロの『最後の審判』が描かれたシスティーナ礼拝堂を密室にし、枢機卿たちが次なるローマ教皇を選ぶ。そんな秘密の香りが漂っていることも、バチカンに惹かれる理由なのかもしれません。

サン・ピエトロ広場
大聖堂の展望台から見たサン・ピエトロ広場。多いときには、25万人を超える群衆で埋まる(撮影:富井義夫)

 

世界遺産登録名/バチカン市国
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