コメディからシリアスな作品まで圧倒的な存在感を見せる一方でバラエティでは軽妙な語り口で笑いを取る俳優の大泉洋さん。主演するSFラブロマンス『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系、毎週火曜9時~)では、ひょんなことからエスパー能力を手に入れてしまったサラリーマン・文太を演じている。脚本の野木亜紀子さんが「あて書き」したという文太は、コミカルな中にも哀愁が漂う大泉さんならではの魅力を引き出した役。大泉さんに作品への思いを聞いた。(取材・文:婦人公論.jp編集部・油原聡子 撮影:本社・武田裕介 ヘアメイク:白石義人 スタイリスト:九(Yolken))
ただただ楽しみ
野木さんとは、映画『アイアムアヒーロー』以来のお仕事です。本当に力のある脚本家なので、どんな物語になるか、ただただ楽しみにしていました。初回放送がほかのドラマに比べて遅かったので、放送開始が待ち遠しかったですね。こんなに自信をもってお届けできるドラマもそうないんじゃないかと思っています。早く世界中から賛辞を浴びたい。「ああ、面白かった」と言われたくてしょうがなかったです。(笑)
大泉洋さん
<大泉さんが演じるのは、ちょっとした横領で会社をクビになり、家族も財産も失って、人生詰んだサラリーマン、文太。ある日、「ノナマーレ」という会社の採用面接を受けることに。最終面接で社長の兆(岡田将生)からカプセルを飲むように迫られる。採用されるために思い切ってカプセルを飲んだ文太は“ちょっとだけエスパー”になってしまう>
文太さんは会社を横領でクビになって、財産もなくなる。人生に絶望していた人間が、兆社長に拾われて会社員となり、そしてエスパーとなって世界を救う話です。文太さんはとてもやさしくて、穏やかな人物。周りに流されてしまうところや強く言えないところもある。僕も意外とそういうタイプです。
野木さんは「大泉洋にはエレジーがある」とおっしゃってくださったので僕が抱えるこのエレジーを、出さなきゃいけない。いただいた設定を、どれだけ自分の胸に落とし込んで演じていくか。実に巧みに、気持ちよく切なくしてくれる脚本ですから、演じていると楽しいし、「野木さん、こんなに素晴らしいシーンをやらせてくれてありがとう」という気持ちになります。