犬のいない生活は考えられない。そしてあたしは大型犬の雄犬が大好きだ。それなのに大型犬の雄犬は、人間の雄のすごく臭い個体みたいに臭い。

先日カバーを洗おうと思ってはがしたら、うわあ、すごい状態で触るのもいや、このまま洗濯機に入れたらたちまち毛が詰まって故障すると思ったので、あたしは裏の駐車場で息を止めて何回か振るった。そしたらまわりの車もあたしも毛だらけになり、毛は払っても払っても磁石みたいにくっついてきて、鼻や口の中にうようよと入り込んだ。もうカバーは金輪際――あたしは決意して、洗わずに捨てた。洗い置きのカバーも捨てた。そしてソファの検索に取りかかった。

検索の第一条件は、安ソファと同じくコンパクトな二人がけ、クレイマーが頭を乗せられる肘掛けつき。しかしそのうち考え方が変わってきた。

まず、革あるいは合成革であること。犬の毛とニオイ対策にはそれしかありえない。それを忘れて布ソファを買ったあたしが、そもそも考えなしだった。

次に、両足を伸ばして寝られるサイズであること。枝元ねこちゃんがソファの話をするたびに主張していたことだ。ねこちゃんちには猫のおしっこでしみだらけになった巨大なソファがあった。ねこちゃんもあたしも、よくそこで両足を伸ばして寝たもんだ。

そして、どうせチトーに囓られるのだ。中古、というのに心が傾いてきた。

さて。ある日とうとう、革・三人がけ・中古という条件を満たしたソファが、うちに運び入れられ、据え置かれた。