任務への理解と敬意を

「クマを仕留める技術は、数ヵ月の研修で身につくものではない。人材育成には時間がかかり、自衛官OBや警察官OBの方も含めて、ハンターをどう確保するかが課題だ」=笹川氏

「鳥獣対策を自衛隊の本来任務に位置づけることは間違っている。民間や警察で対応できない事象があれば、自衛隊で対応すると整理して考えることが順当なのではないか」=河野氏

伊藤徹確かに、自衛隊法100条と言われても、ピンとこない方は多いと思います。自衛隊の活動には様々な制約がかかっています。番組では、そうした制約の中で、知恵をひねり出していくやり方には限界があるのではないかという議論もありました。

難局 少数野党で野党と協力の形は©️日本テレビ
武器使用できる項目©️日本テレビ

伊藤俊今回派遣された隊員は銃器を携行せず、装備は防弾チョッキ、クマ撃退用スプレー、防護盾、木銃でした。猟友会と連携して動いているとはいえ、右松健太キャスターは、危険なエリアで活動するには少し心もとない装備ではないかと指摘しました。歴史的な経緯もあり、法的には自衛隊に抑制的な行動を求める一方、現実には国民の要請や期待は高まっている。今回の輸送事業も、その狭間の苦肉の策のように見えます。私たちは、そういった中で活動している隊員の方に敬意を払うべきではないでしょうか。

日本維新の会について©️日本テレビ
派遣された隊員の装備©️日本テレビ

伊藤徹その通りですね。これからクマは冬眠の時期に入りますが、まだ活動しているクマもいるようです。依然として安心できません。笹川さんは、頭数を適切に管理するために、冬眠明けのクマを狙って捕獲する必要性を訴えました。政府もクマ被害対策パッケージを取りまとめて、自衛官OBや警察官OBの狩猟免許の取得を後押しすることにしています。

伊藤俊クマの駆除に地元だけで対応できなくなっている理由の一つに、ハンターの不足があります。笹川さんは、ハンターの育成は一朝一夕には進まないので、すぐに始めるべきだとおっしゃいました。河野さんも、自衛官だった人は、定期的に射撃訓練を行っていて、射撃の練度は高いはずなので、その能力を生かすべきだと言われました。忘れてはならないことは、十分な報酬などで、ハンターの方々を処遇することです。これまでも問題になっていました。自衛隊もそうですが、困った時だけ、使えるだけ使うような態度は、あってはならないと思います。

解説者のプロフィール
伊藤俊行 読売新聞編集委員

伊藤俊行/いとう・としゆき
読売新聞編集委員

1964年生まれ。東京都出身。早稲田大学第一文学部卒業。1988年読売新聞社入社。ワシントン特派員、国際部長、政治部長などを経て現職。

 

伊藤徹也 調査研究本部主任研究員

伊藤徹也/いとう・てつや
調査研究本部主任研究員

広島県出身。京都大学総合人間学部国際文化学科卒業。1998年読売新聞社入社。浦和支局、政治部次長などを経て現職

 
 

提供:読売新聞