2019年4月12日、東京大学学部入学式にて、同大学名誉教授であり、女性学の第1人者である上野千鶴子さんが述べた祝辞が話題を呼んでいます。ワイドショーやSNSでは賛否両論も。『婦人公論』読者の意見を選りすぐって紹介します
〈祝辞文全文はこちら〉
Q この祝辞に賛同する? しない?
賛同する…29人
賛同しない…4人
なんとも思わない…1人
Q それはなぜですか? また、祝辞でもっとも印象に残った言葉を教えてください
祝辞で印象的だったのは…
その選抜試験が公正なものであることをあなたたちは疑っておられないと思います。もし不公正であれば、怒りが湧くでしょう。が、しかし、昨年、東京医科大不正入試問題が発覚し、女子学生と浪人生に差別があることが判明しました。
怒っていいのだと、背中を押された
東京医科大学の事件が白日の下に晒された時、怒りを通り越して、絶望しました。そのようなことを許してしまう社会に。上野さんの祝辞を読み、怒っていいのだと、背中を押された気がします。またマララさんのお父さんの言葉は、男の子を育てる親の立場から見ても参考になります。こんな社会で、マチズムにとらわれない子育てをどう模索していくか、そんな課題も出てきて頭を抱えています
(30代・女性・会社員)
東京医科大学の事件が白日の下に晒された時、怒りを通り越して、絶望しました。そのようなことを許してしまう社会に。上野さんの祝辞を読み、怒っていいのだと、背中を押された気がします。またマララさんのお父さんの言葉は、男の子を育てる親の立場から見ても参考になります。こんな社会で、マチズムにとらわれない子育てをどう模索していくか、そんな課題も出てきて頭を抱えています
(30代・女性・会社員)
祝辞で印象的だったのは…
最近ノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイさんが日本を訪れて「女子教育」の必要性を訴えました。それはパキスタンにとっては重要だが、日本には無関係でしょうか。「どうせ女の子だし」「しょせん女の子だから」と水をかけ、足を引っ張ることを、aspirationのcooling downすなわち意欲の冷却効果と言います
「女は金儲けの上手い男と一緒になればいい」と言われ
私自身も大学に進学したいと考えていた頃、叔父から「女は金儲けの上手い男と一緒になればいいんだ」と言われて、ものすごく憤りを感じたことを覚えている。また出身高校に教育実習に行った際、担当教諭が言った「お前、コネはあるのか? 本県は世襲だぞ」という言葉が忘れられない。教育現場でそんな言葉を聞くとは思ってもいなかったが、実際そうだったのだろう。私は結局教員にはならなかった。女性が、自分の生き方を自分で決められるというのは素晴らしいことだと思う(50代・女性・主婦)
私自身も大学に進学したいと考えていた頃、叔父から「女は金儲けの上手い男と一緒になればいいんだ」と言われて、ものすごく憤りを感じたことを覚えている。また出身高校に教育実習に行った際、担当教諭が言った「お前、コネはあるのか? 本県は世襲だぞ」という言葉が忘れられない。教育現場でそんな言葉を聞くとは思ってもいなかったが、実際そうだったのだろう。私は結局教員にはならなかった。女性が、自分の生き方を自分で決められるというのは素晴らしいことだと思う(50代・女性・主婦)
祝辞で印象的だったのは…
こういうことを研究する学問が40年前に生まれました。女性学という学問です。のちにジェンダー研究と呼ばれるようになりました。私が学生だったころ、女性学という学問はこの世にありませんでした。なかったから、作りました。
理不尽な行為に声を上げていい社会に
セクハラという言葉は、最近やっと市民権を得てきたように思います。私が働き始めた30年前は、「おはよう」と言ってお尻を触る男性がゴロゴロいました。そのことでイヤな気持ちになっても、「イヤだ」と言えずに耐えて仕事をしてきました。そういう性差別や理不尽な行為に声を上げていい社会に変化してきたのは(いまだにセクハラおやじは健在ですが……)、上野先生や先輩方の戦いがあったから。これから大学生になり、社会に出ていく若者たちに、この愛ある祝辞が心に響くことを願います
(50代・女性・会社員)
セクハラという言葉は、最近やっと市民権を得てきたように思います。私が働き始めた30年前は、「おはよう」と言ってお尻を触る男性がゴロゴロいました。そのことでイヤな気持ちになっても、「イヤだ」と言えずに耐えて仕事をしてきました。そういう性差別や理不尽な行為に声を上げていい社会に変化してきたのは(いまだにセクハラおやじは健在ですが……)、上野先生や先輩方の戦いがあったから。これから大学生になり、社会に出ていく若者たちに、この愛ある祝辞が心に響くことを願います
(50代・女性・会社員)
女性も精神的に自立できていない?
「女性学」があることそのものが、女性が男性と差別・区別されてきたことを示している。その一方で、東大工学部と大学院の男子5人による、私大の女子学生を集団で性的に凌辱した事件のようなことが起こるのは、女性のほうにも“東大生男子だから付き合った”というような気持ちがあるのは否定できないのではないでしょうか? もしそうなら、女性も精神的に自立できてないと思います
(60代・女性・主婦)
「女性学」があることそのものが、女性が男性と差別・区別されてきたことを示している。その一方で、東大工学部と大学院の男子5人による、私大の女子学生を集団で性的に凌辱した事件のようなことが起こるのは、女性のほうにも“東大生男子だから付き合った”というような気持ちがあるのは否定できないのではないでしょうか? もしそうなら、女性も精神的に自立できてないと思います
(60代・女性・主婦)
祝辞で印象的だったのは…
がんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです
男性と同じように働き、定年退職できたのは
私は国立大学の教育学部を卒業し、男性と同じように働き、今年3月に定年退職を迎えました。これは、私の両親や祖母の手助けのおかげです。教育を受けて働けることは恵まれていることなのだと、改めて実感しています
(60代・女性・教員)
私は国立大学の教育学部を卒業し、男性と同じように働き、今年3月に定年退職を迎えました。これは、私の両親や祖母の手助けのおかげです。教育を受けて働けることは恵まれていることなのだと、改めて実感しています
(60代・女性・教員)
期待に満ちた、素晴らしい祝辞
「教育格差がある。努力しても報われない人がいる。あなた達は自分の努力だけでなく、周りに恵まれて今ここにいる。だからこれからは、その力をどうか恵まれない人のために使ってほしい」というところが上野さんの一番言いたいことではないかと思う。男女差別や教育格差、この世界にはさまざまな不平等があるけれど、それを無くしていってほしいし、東大生にはそれができる可能性があるという、期待に満ちた、そして彼らの能力に賛辞を呈した素晴らしい祝辞だと私は思いました(40代・女性・主婦)
「教育格差がある。努力しても報われない人がいる。あなた達は自分の努力だけでなく、周りに恵まれて今ここにいる。だからこれからは、その力をどうか恵まれない人のために使ってほしい」というところが上野さんの一番言いたいことではないかと思う。男女差別や教育格差、この世界にはさまざまな不平等があるけれど、それを無くしていってほしいし、東大生にはそれができる可能性があるという、期待に満ちた、そして彼らの能力に賛辞を呈した素晴らしい祝辞だと私は思いました(40代・女性・主婦)