これで死んだとしても別にいい

能町 モンゴル、何日間だったんですか? 

ヒャダ 4泊5日ですね。ゲル・テント・テント・ゲルです。 

久保 「またあの暮らしに戻ってみたい」とは思わないの?

ヒャダ 「もうちょっと馬に乗りたかったな」とは思いますね。無理やり乗せられて、「はい、行け!」って。何の練習もなく。 

能町 そんな感じなんだ。スパルタですね。 

ヒャダ 「モンゴルの馬はおとなしいから大丈夫だ、行け!」って。 

能町 いやいやいやいや…………でも海外だと、ちょっと命知らずなことはできますね。私のミャンマーの観覧車もそうですけど、 

──どんな感じだったんですか? 

能町 人力の観覧車です。

一同 こわーっ!

能町 すごかったです。観覧車といっても、「日本で言うなら観覧車」ってだけで、実際は絶叫マシーンなんですけど。観覧車の形をしているんですけど、電気がたぶん通っていなくて、高さで言うと、一番高いところでビル5、6階分くらい。その骨組みを若者(係員)がひょいひょいひょいっと、命綱もつけずに登っていって、全員が配置についたらピーッと鳴って、みんな一斉に片方に体重をかけるんです。で、全員グルーンってぶら下がりながら下りてくる。その人たちの体重で回して、カゴに乗ってる人たちがぐるぐるぐるぐる……「落ちたら死ぬ」と思いながら乗りました。 

久保 常設じゃないって言ってたよね。 

能町 そう、常設じゃなく仮設なんです。 

ヒャダ それはまた怖いですね。 

能町 「寺の祭りのときに出てくる出し物」みたいなやつです。出し物にしてはデカすぎるんですけど。でもあれは現地に行ったら乗らないと、と思っちゃいます。「これで死んだとしても別にいいや」って気持ちで乗りました。 

久保 走馬灯として優秀だね。 

能町 走馬灯の一つとしては最高です。しかも場所はお寺なんですけど、ずっとクラブミュージックみたいな音楽が流れてるんですよ(と言って動画を見せる)。登っているのが観覧車を回す係員です(*)。 

*能町さんのいう観覧車に近いタイプをYouTubeで見つけました。だいたいこのイメージです。

──この高さに丸腰で……?

能町 そうです。命綱もヘルメットもないです。ひょいひょいひょいっと登って。 

久保 ま、まだ子供じゃないか……(*)。

*パッと見、高校生くらいの年頃に見える。 

能町 で、くわえタバコで(笑)。 

ヒャダ こうやって体重かけてる人も、一緒に落ちていくわけですよね。 

能町 落ちます。 

久保 命って軽いね……。 

能町 このアッパーなクラブミュージックがまたいいんですよ。 

ヒャダ いいですね、東南アジアですね。

──係員も危ないですけど、このゴンドラも公園にある4人乗りのブランコみたいなやつでしょ? それでこの高さと回転。 

能町 そうそう、シートベルトとかは一切ないです。 

ヒャダ でもこれ、まあまあのスピードじゃないですか。シートベルトなしでこんなに回って……。

能町 そうなんです。でも楽しかったんですよ。 

──動かす方も乗る方も命綱のない世界、楽しそうですね……見てるぶんには。 

久保 私、「落ちそうな場所なのに命綱がない」ってものを見るのが本当にダメで。メキシコでピラミッドの頂上登ったときに、それを味わったから。

──言ってましたね。落ちたら死ぬ高さなのに、はしゃいでる人がいるのが信じられないみたいな。

久保 思い出すと、今でも怖い。ネットでもあるじゃん、高い崖の上を命綱もなしに渡っていく映像。ああいうのを見ると、「人生の尺度が違う」と思っちゃう。最近見た中国の動画なんだけど、山のてっぺんまで続く道が険しい岩になってて、そこに登山者が行列になってるんですよ(*)。落ちたら死ぬ高さなんだけど、そこでスマホを見ながら歩いてて落ちた人の映像があって。「なんでこんなところでスマホ見ながら歩くんだよ!」って。 

*中国の「刃岩」と呼ばれる危険な場所で、歩きスマホをしていた男性が落下した。男性は木に引っかかって骨折で済んだとのこと。ニュース映像はこちら

能町 なんでそんな危険な場所で見るんですかね? 

久保 一応、「その場所がいかに危険か」という動画を撮ろうとしてたらしいんだけど。

能町 ミャンマーの観覧車もそうですけど、そういうのが当たり前の環境に1週間くらいいたので、日本に帰ってきたら、車でシートベルトを締めるのがバカバカしく感じられてしまいました。「後部座席でシートベルトいる?」みたいな感覚になってしまって。あと、ミャンマーには信号がほとんどないので、歩行者は基本的に自己判断で渡るんですよ。超でっかい道路でも、人がたくさん渡ってて。自己判断のハードルが日本人と違いすぎて、2車線+2車線の幹線道路の真ん中にあるセンターラインを、普通に人が歩いてたりするんですよ。 

ヒャダ ありますよね。カンボジアもそうでした。 

能町 みんな当たり前にやってるんですよ。子供からじいさんまで。

ヒャダ クラクションはどうでした?

能町 めっちゃ鳴ってました。

ヒャダ  クラクションは鳴らすのが礼儀らしいですね。「いま通りますよ」という合図らしくて。鳴らさない方が良くないらしい。

能町 めっちゃプープー鳴らしてますね。でも手塚治虫のマンガとかで都会のシーンがあると、擬音でたくさん「プープー」って書いてあるじゃないですか。

ヒャダ 確かに! 

能町 だから「日本も昔はこんな感じだったんだろうな」と思って見てました。野良犬だらけだったし。でも向こうの野良犬はみんなおとなしいです。人を追いかけもしないし、噛んだり吠えたりもない。ただダラダラとそこにいる。 

(2025年12月20日のこじらせライブより)