義父・静夫さんとの日々

エッセイに登場する義父の静夫さんとは2016年から僕が建てた家で同居していました。実は静夫さんは、同居する前に一度脳梗塞になったんです。その時から足をひきずるようになって。当時静夫さん夫婦は、エレベーターがない団地の4階に住んでいました。妻が妊娠して一軒家を買おうと思った時、静夫さんたちも大変だろうから同居をしようということになったんです。

1階は静夫さんと義母のやす子さん、2階に僕と妻と娘3人が住んで、静夫さんはともかくマイペース。家の中に野草を持ち込んでいっぱいにしたり、食事は基本的に布団の上で食べたり。はじめはイライラしましたが、僕も付き合い方を覚えていったので、自由奔放な静夫さんとの暮らしは楽しくなりました。

©︎Nobuyuki Hanawa,Chaz 202

 

でも、2年くらい前に静夫さんが家の中で転んでしまったんです。首とかにコルセットが必要な状態になってしまった。医師からは「次に転んだら危ないですよ」と言われました。

家を介護用にリフォームすることやヘルパーさんに来ていただくことも考えたのですが、僕の妻は3人の娘の子育て中。やす子さんは高齢で腰や背中に痛みもあるし、動きがままならない状態。現実的に在宅での介護は難しいということになりました。
医療関係で働いていた妻の妹が、いろいろ調べてくれていい施設が見つかったので、静夫さんに老人ホームに入ってもらうことになりました。

妻は三姉妹で、静夫さんの施設入居は3人で話し合って決めたようです。静夫さんは病院に行くだけでもすごく嫌がるタイプ。さかのぼれば、同居する時も「団地のままがいい」と結構ごねましたね。今の家には静夫さんも10年は住んでいましたから、施設に入ることは乗り気ではなかったようですが、妻たち三姉妹、特に三女が説得してくれたようです。静夫さんは昔から三女に弱くて。いつも、三女が説得すると納得して、話が進みます。

ナイツ 塙 宣之さん
ナイツの塙宣之さん

施設の入居について僕が口をはさむことはありませんでした。三姉妹が話し合って結論が出たことを聞くという形。妻の家は、もともと静夫さんが自由奔放に生きるタイプだったこともあって、「父親」という存在を頼りにしていない。父親に相談せずいろいろ決めてきたDNAがある。静夫さんも「これからどうしようか」って娘たちから相談されたことはないんじゃないかな。