新党が自民党という厚い壁に跳ね返されてきた30年
伊藤 自民党はこの経験から、「とにかく、何がなんでも与党でなければいけない」と深く肝に銘じたのだと思います。政権の座を手に入れるため、社会党と新党さきがけと連立を組み、社会党党首を総理大臣にすることまで平然とやってのけた。
安藤 二度と政権を手放したくないと。自社さ連立政権なんて、以前の自民党では考えられない。
伊藤 振り返ると、平成を境に政党の流動化が始まりました。細川さんが日本新党を立ち上げた頃から情勢が変わり、いわゆる「新党ブーム」の時代がやってきます。新進党、太陽党、フロム・ファイブ、国民の声……その後、今日までに60前後の新党が生まれては消えていきました。
安藤 そんなにありましたか。
伊藤 3日ぐらいで消滅したのも全部ひっくるめてですけれど。最終的にほとんどがなくなりましたね。結局、平成とは「新党の時代」であり、新党が自民党という厚い壁に挑戦し、跳ね返されてきた30年だったと言えるのかもしれません。
安藤 村山政権の後は橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗と3人の首相を経て、小泉内閣(第一次〜三次)の時代を迎えます。小泉純一郎さんの存在はやはり異彩を放っていた。平成の政治は「小泉以前」と「小泉以降」に分けられるのではないでしょうか。
平成の歴代総理大臣と在職日数
総理大臣名 政党名 在職日数
宇野宗佑 自民 69日
海部俊樹(第一次) 自民 203日
海部俊樹(第二次) 自民 616日
宮澤喜一 自民 644日
細川護凞 日本新 263日
羽田孜 新生 64日
村山富市 社会 561日
橋本龍太郎(第一次) 自民 302日
橋本龍太郎(第二次) 自民 631日
小渕恵三 自民 616日
森喜朗(第一次) 自民 91日
森喜朗(第二次) 自民 297日
小泉純一郎(第一次) 自民 938日
小泉純一郎(第二次) 自民 673日
小泉純一郎(第三次) 自民 371日
安倍晋三(第一次) 自民 366日
福田康夫 自民 365日
麻生太郎 自民 358日
鳩山由紀夫 民主 266日
菅直人 民主 452日
野田佳彦 民主 482日
安倍晋三(第二次) 自民 729日
安倍晋三(第三次) 自民 1044日
〈後編につづく〉
安藤優子
ニュースキャスター
1958年千葉県生まれ。上智大学在学中からキャスターやリポーターとして報道に携わる。『FNNスーパータイム』『ニュースJAPAN』『FNNスーパーニュース』のメインキャスターとして活躍。現在は、午後の生放送番組『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ系)のメインキャスターを務める
伊藤惇夫
政治アナリスト
1948年神奈川県生まれ。学習院大学法学部卒。自民党本部に約20年勤務後、太陽党、民政党、民主党の事務局長などを歴任。最新刊に『消えた「風圧」絶滅危惧政治家図鑑』